私は日常、ほぼラジオ生活。かけっぱなしなので、何が聴きたい、という訳ではありません。
でも、先日流れてきた一曲は、それはそれは美しくて、趣味の刺繍の手を止めて聴き入ってしまいました。
KANさんと秦基博さんの1曲「カサナルキセキ」…
ご存知でしょうか。
KANさんは「愛は勝つ」で1990年にブレイク。バブルの時代、何故この曲がリリースされたのかは分からなかったし、その時オトナになったなったばかりの私には、少々気恥ずかしいような、そんな曲だったと記憶しています。
一方秦基博さんは「ひまわりの約束」で有名になったそうですが、声の良さで「シンクロ」の頃から、気になっていたシンガーソングライターのひとりでした。
そのお二方が制作した曲。それぞれに「カサナル」「キセキ」と言う曲をリリースし、ファンの方々の中では「同じ曲では?」「似ていない?」「何かする気?」などと、噂になっていたそうです。その噂が広がる事も、仕掛け人のKANさんにとっては舞台のひとつ。
謝罪会見を開き、お詫びし「カサナルキセキ」をリリース発表するところまで、曲が完成する前にスケジュールされていたそうです。途中、「カサナル」のリリースが後になった秦基博さんに「盗作?」という声が出た時には「プライベートは本人たちに任せています」の返答まで用意していたそうで、本当におちゃめな人だったんですね、KANさん。
「同じコード進行、同じBPM、同じテンポで、だけど旋律がふたつあって、それぞれがすごくいい曲で、それが重なったらもっといい曲になる、という曲を書きたいんだ」とKANさんが秦さんを誘って作ったそうです。私は音楽の事はさっぱり分かりませんので、このお誘いがどの位難しく、大変冒険的な事かも理解に及びませんが、とても大変だったそう。
KANさんはピアノ、秦さんはギターを用いる通常のスタイルに加え、追加のアレンジも、バイオリン/バイオリン/ビオラ/チェロの4つを、それぞれ2つに分けて用い、最後に2曲が合わさったときに、カルテットが完成するようにしたり、とか。すごいですよね。
でももっとすごいな、と思ったのは、歌詞が所々被るんです。実際に言葉が被るところもあれば、同時だったり、少しだけ時差がありつつ…対話の様な、深層心理と潜在意識の様な、行動と本心との差の様な。でも、LASTに向けて本当に「カサナル」。それは「キセキ」の様に。
リリックは2曲分見なきゃならないし、それぞれの歌詞を「カクテルパーティ効果」を存分に発揮し、聞き取りしなきゃならないので、しっかり聞くには疲れちゃうかも、ですし、現在のヒット曲の要素(繰り返し、マネできるリズム、特徴的なリリック、裏声などのトーンチェンジ…など)は全く無いので、大きなヒットにはならないでしょうけれど(←失礼)、お二人にとって代表曲のひとつになるのではないかな、と感じました。昨年の今頃、遠くに行ってしまったKANさんも、空の向こうでそう思っているのではないかな、と感じる曲でした。
もしよろしければ、今持っている携帯を机に伏せて置いて、この1曲、聴き入ってみてください。
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